令和5年度 公立八女総合病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 76 34 62 112 158 294 480 1041 1122 451
定義
令和5年度退院患者さんの人数を 10歳刻みの年齢階級別に集計しています。年齢は入院時の年齢です。

特徴
当院の入院患者さんは、医療圏の高齢化率が高いことから、令和5年度の退院患者さん(3,830名)のうち60歳以上の割合が高く、全体の80%を占めています。年齢別の傷病構成は、
10歳以下では肺炎や喘息といった呼吸器系疾患が多くみられます。10、20代の入院は少なく、扁桃、アデノ慢性疾患が多くみられます。30、40代では、子宮や卵巣腫瘍などの婦人系疾患が多くみられます。50代では、腎臓病や腎不全といった腎機能系疾患などが多くが見られます。60代では狭心症、慢性虚血性心疾患が多くみられ、さらに脳梗塞が増え始めます。70代からは白内障が最も多く、がん疾患(肺や前立腺の悪性腫瘍)が増え始め、腎臓病や腎不全といった腎機能系疾患が加わります。次いで80、90代になると心不全や肺炎、脳梗塞といった疾患が多くなります。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
心臓血管内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 150 23.87 17.54 17.33 83.33
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1なし、1,3あり 手術・処置等2なし 定義副傷病名なし 34 15.18 9.89 2.94 83.65
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 30 17.97 11.59 6.67 67.93
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 - 1あり 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 30 4.2 3.04 10.00 71.83
050050xx9913xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 - 1あり 手術・処置等2 - 3あり 29 6 6.33 6.90 71.24
心臓・血管内科で最も多い症例は、心不全の治療です。心不全とは心臓の血液循環力が低下した状態を指し、生命にかかわる重篤な疾患です。平均年齢は約83歳となっており、高齢者に多いことが分かります。次に多い症例は、徐脈性不整脈に対する治療です。徐脈性不整脈とは、心臓の拍動の正常なリズムが乱れ、心拍数が極端に少ない状態のことです。心臓が十分に血液を送り出すことができず、めまい、動悸、息切れ、胸痛などの症状を引き起こすことがあります。薬物療法や心臓へのペースメーカーの植え込み治療が行われます。次いで多い疾患は、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の治療と検査入院です。虚血性心疾患とは、心臓を取り巻く血管が狭窄し、心筋に十分な血液が送れなくなる疾患です。血管内にカテーテルという細い管を挿入し、狭窄の程度を検査したり、血管の内側から治療を行っています。
心不全治療、動脈・静脈疾患に加えペースメーカー手術などの不整脈治療、診療も積極的に行っており、ほとんどの循環器の病気の治療を当院で行うことができます。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 内シャント血栓除去術等 手術・処置等2なし 117 3.43 4.23 10.26 74.74
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 46 14.91 11.77 10.87 70.3
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 34 12.88 7.59 0.00 66.71
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 - 1あり 24 42.67 33.82 16.67 76.38
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 19 20.79 17.54 15.79 80
腎臓内科で最も多い症例は、慢性腎臓病です。慢性腎臓病は腎臓の機能(尿をつくる・体内のイオンバランスを一定に保つ・血圧を調整する・血液をつくる働きを助ける・強い骨をつくる)が低下し、疲労感、食欲低下、高血圧、手足のむくみなどの症状を引き起こすことがある疾患です。治療内容は保存期の治療や教育入院による指導、透析導入等です。また、透析患者さんの合併症(シャントの閉塞や狭窄)の管理においては、血管外科医と連携を行い、迅速にPTA(経皮的血管拡張術)を行っています。当院の腎臓内科では、慢性腎炎から末期腎不全まで腎臓内科分野のすべての診療を網羅しており、腎代替療法に関しては血液透析、腹膜透析療法の治療も可能です。医師だけでなく透析専門認定看護師を含め、看護師、栄養士、薬剤師、工学技士、理学療養士、ソーシャルワーカー等チーム医療として腎臓疾患の患者さんを診療しております。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 29 12.76 9 3.45 76.41
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 21 6.48 4.59 0.00 69.43
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 19 11.95 10.06 0.00 70.63
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 15 11.13 9.68 0.00 31.33
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 12 9.25 6.93 0.00 63.75
外科で最も多い疾患は、腸閉塞(イレウス)です。腸閉塞(イレウス)とは、腸の内容物の通過が完全にふさがれているか、深刻な通過障害をきたし、食べ物や水分がうまく流れなくなってしまう疾患です。症状としては、腹痛、吐き気・嘔吐、腹部膨隆、排便・排ガス停止などが挙げられます。絶食し、鼻から管を入れて腸に詰まっているものを取り除く治療が一般的ですが、改善がない場合や症状が強い場合には手術を行います。
次に多い疾患は、鼠径ヘルニアです。鼠径ヘルニアとは、本来ならばお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、足の付け根付近(鼠径部)から皮膚の下に出てくる病気です。腸が出てくるので、一般的には「脱腸」と呼ばれています。手術による治療を行います。
当科では、患者さんが「元気に帰れる手術を行う外科」をテーマに「安全な手術と術後管理」、「低侵襲手術を含めた患者さんのニーズへの対応」を実践し日々努力しています。術前術後のリスク管理や治療方針を、他科を含めたカンファランスで話し合い、最もその患者さんに合った方法を選択し、提案します。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 18 6.67 6.05 0.00 2.61
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) - - 5.89 - -
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし - - 6.13 - -
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 5.71 - -
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.61 - -
小児科で多い疾患は、喘息です。喘息とは、気道(呼吸をするときの空気の通り道)が狭くなり呼吸が苦しくなる症状がおこる疾患です。気道の炎症を抑えて、喘息の症状が出ることを防いだり、発作を予防するために、治療を開始します。患者さんの平均年齢は2.6歳となっています。乳幼児は、もともと気管や気管支が細いため、かぜをひいただけでもヒューヒュー、ゼーゼー、することがあり、ぜん息とかぜの区別は簡単ではありません。早い時期に正しい診断に基づいた治療を始めることが大切です。
当院では、多岐にわたる小児疾患に対応するため、必要に応じて院内の他科や、他病院と連携をとり専門医への紹介を行っています。子供たちの健康増進をはかり、健やかな成長のサポートを行っていきます。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 34 36.82 26.42 70.59 86.29
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 27 33.93 20.09 37.04 81.7
070343xx99x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2なし - - 13.78 - -
07010xxx99xxxx 化膿性関節炎(下肢) 手術なし - - 16.98 - -
160980xx99x0xx 骨盤損傷 手術なし 手術・処置等2なし - - 19.98 - -
整形外科で最も多い疾患は、股関節・大腿近位の骨折です。大腿骨頭を人工骨頭に取り換える手術治療を行います。平均年齢が84歳と高く、ご高齢の方が転倒し、加齢により弱くなった骨が折れてしまい、治療が必要となる場合が多いです。股関節・大腿近位の骨折の治療後は、リハビリが必要になる患者さんが多数いらっしゃいます。当院で治療を終えた後、リハビリ目的に転院される為、転院率が70%と高くなっています。
当院整形外科の地域での重要な役割は、高齢化に伴う症例が多く見受けられる中、合併症(腎不全、心不全、肝硬変、がんなど)を伴う患者さんの治療だと考えています。平均在院日数が長くなっている背景は、高齢化や合併症管理と考えられます。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 19 6.63 6.04 0.00 52.47
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 16 11.19 9.27 0.00 45.94
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2なし - - 3.02 - -
120110xx99xx0x 子宮・子宮附属器の炎症性疾患 手術なし 定義副傷病なし - - 8.41 - -
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 - - 9.38 - -
産婦人科で多い疾患は、卵巣や子宮の良性腫瘍(子宮筋腫や卵巣腫瘍など)です。当院では、2024年6月より子宮筋腫に対するカテーテル治療(=お腹を切らないで行う手術)を開始しました。筑後地区では、久留米大学病院に続いて2施設目となります。治療はすべて保険診療で受けることができます。従来の治療内容と比較して、入院日数、社会復帰までの期間が短い低侵襲な治療であり、手術のような大きな傷跡が残らず、子宮を温存できる利点があります。
次に多い疾患は、子宮頸・体部の悪性腫瘍です。 子宮頸・体部の悪性腫瘍とは子宮がんのことです。悪性腫瘍に対しては、手術・抗がん剤治療・放射線治療・緩和治療を行っております。手術の適応のない患者さんには放射線治療(抗がん剤を併用した)や抗がん剤による化学療法が行われます。手術後に再発リスクが高いと判断された患者さんには放射線治療や化学療法を追加する場合があります。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 26 6.54 6.23 0.00 51.08
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 24 6.75 4.79 0.00 68.08
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 18 7.72 7.73 0.00 21.94
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 13 7.46 6.81 7.69 59.31
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり 12 2 2.03 0.00 48.42
耳鼻咽喉科で最も多い症例は、慢性副鼻腔炎です。鼻腔が狭く、鼻腔の通気性が失われることで、慢性副鼻腔炎を起こすような、鼻中隔弯曲症等の方に対して、内視鏡手術を行っております。次に多い疾患は前庭機能障害です。脳は左右1対の前庭(平衡を感じ取る働き)からの情報を元に体のバランスを取っています。「前庭」という部分が突然何らかの異常を来すと、前庭からの情報が脳に上手に伝わらず、脳が大混乱に陥ってそれがめまいを引き起こします。それが、前庭機能障害(メニエール病や良性発作性めまい症)です。当院では手術やお薬による治療を行っています。次に多い疾患は、扁桃、アデノイドの慢性疾患です。平均年齢は21歳と低くなっています。扁桃はのど、アデノイド(咽頭扁桃)は鼻の奥の突き当たりにあるリンパ組織で、ウイルスや細菌などがからだに侵入しないよう防御する役割を担っています。当院の耳鼻咽喉科では、手術や、入院加療が必要な炎症性疾患(扁桃炎・咽喉頭炎)の治療を行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 31 13.97 11.85 9.68 78.16
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2 - 4あり 定義副傷病なし 重症度等発症前Rankin Scale 0、1又は2 31 17.52 15.97 32.26 73.68
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 29 7.38 7.33 0.00 61.31
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 27 11.48 8.54 11.11 72.63
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作 手術・処置等2なし 21 6.57 6.3 0.00 70.95
脳神経外科で最も多い症例は非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫です。慢性硬膜下血腫とは頭部外傷後、通常1~2カ月かけて、頭蓋骨の下にある硬膜(脳と脊髄を覆う膜の一つ)と脳の間にじわじわと血液がたまって血腫ができる病気です。血腫が大きくなり脳を圧迫することで、頭痛、物忘れ、認知症によく似た症状(意欲の低下、性格の変化、反応の低下など)、歩きにくさ、片方の手足に力が入らないなどさまざまな症状をきたします。高齢者に多くみられ、平均年齢は78歳となっています。次に多いのは、脳梗塞です。脳梗塞とは、脳血管の一部が詰まり、その先に十分な血流がいかず脳細胞がダメージを受ける疾患です。入院後の治療としては、点滴治療を中心とした保存的治療と併せて、早期のリハビリテーションを行っています。
非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫も脳梗塞においても退院後はリハビリが必要になることが多いため転院率が高くなっています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 37 31.73 21.11 37.84 84.49
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 34 36.59 18.57 11.76 76.97
0400801499x002 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 重症度等A-DROP スコア2 32 22 16.19 21.88 83.84
0400801499x003 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 重症度等A-DROP スコア3 27 24.3 17.79 22.22 85.96
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2 - 4あり 定義副傷病なし 26 10.42 8.6 0.00 72.31
呼吸器内科では、呼吸器感染症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、びまん性肺疾患、肺癌など、幅広い分野に対応しています。最も多い症例は、誤嚥性肺炎です。加齢などで飲み込む機能が弱くなると、飲食物や唾液、胃液などが気管に入ってしまうことがあります。これを誤嚥といい、誤嚥したものと一緒に細菌が肺に入って炎症が起こったものが誤嚥性肺炎です。特に高齢の方に多く、平均年齢は84歳となっております。治療内容は、主に抗菌薬を用いた薬物療法です。しかし、抗菌薬は肺炎自体に効果がありますが、誤嚥を防ぐ効果はありません。当院では、日頃のケアを他職種チーム(摂食嚥下支援チーム)がサポートし再発予防に努めています。次に多い疾患は、間質性肺炎です。間質性肺炎は肺を支える組織である間質に炎症が起こった状態です。炎症が進むにつれて間質が厚く、硬くなり肺の動きが悪くなってしまいます。
誤嚥性肺炎も間質性肺炎も再燃や他疾患を併発していることが多く、治療期間は通常の肺炎よりも長くかかることが多く、平均在院日数は長くなっています。
泌尿器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 53 7.06 6.85 0.00 76.17
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 52 2.29 2.45 0.00 74.12
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 36 13.72 13.61 16.67 78.44
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病なし 33 5.24 5.29 0.00 64.88
110310xx01xxxx 腎臓又は尿路の感染症 経尿道的尿管ステント留置術 11 16 13.78 18.18 81.73
泌尿器科で最も多い症例は、膀胱腫瘍です。膀胱腫瘍に対する手術では、開腹せずに手術用内視鏡を用いる経尿道的膀胱腫瘍切除術(尿道から内視鏡を挿入して、がんを電気メスで切除する手術)を行っています。前立腺がんの診断に不可欠である前立腺生検を目的とした入院が多いです。生検とは身体の組織の一部を切り取って調べる検査です。生検はさまざまな病気の確定診断のために行われます。前立腺の生検では前立腺に針を刺して組織を取り出します。平均在院日数は2.2日と短期間の入院検査となります。
また当院では、腎癌に対する腎摘、腎盂尿管癌に対する腎尿管全摘の腹腔鏡手術にも、連携先の病院より先生をお招きして対応しています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 重症度等片眼 16 13.44 8.05 0.00 58.06
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 13 11 5.8 0.00 74.46
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 重症度等片眼 10 8.7 5.07 0.00 65.7
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 重症度等片眼 - - 2.63 0.00 79
020220xx97xxx0 緑内障 その他の手術あり 重症度等片眼 - - 5.18 0.0 73.71
眼内の網膜(カメラで例えるとフィルム)には様々な疾患があります。その1つである網膜剝離が最も多い症例となっています。網膜は目に入った光の信号を視神経に伝える役目があります。網膜剥離とは網膜が剥がれ光の信号を視神経に伝えることができず、また、十分な栄養や酸素が得られなくなり、機能を失ってしまう疾患です。次に多い症例は黄斑変性です。黄斑とは網膜の中央にある組織で、視細胞(物を見る細胞)が集まっている重要な部分です。黄斑に浮腫や血流が滞ると視力や物を認識する働きに問題が起こります。加齢とともにリスクが高くなる病気の為、平均年齢は74歳となっています。これらの治療に対して当院では光凝固術(裂け目の周囲をレーザー光でふさぐ)や硝子体茎顕微鏡下離断術(出血によって濁った硝子体を取り除く)の手術治療を行っています。
内分泌代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 - 1あり 17 33.88 14.28 11.76 72.76
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 20.27 13.43 9.09 56.36
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.61 - -
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2なし - - 10.8 - -
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 定義副傷病なし - - 6.41 - -
内分泌代謝内科で最も多い疾患は、2型糖尿病です。糖尿病は、インスリンの作用不足により血糖値が高くなる病気です。長期間放置すると神経障害による手足のしびれや網膜症による失明、腎症による透析につながりうる病気です。また、心筋梗塞、脳卒中、足の壊疽などの合併症の原因にもなります。当院内分泌代謝内科では、糖尿病患者の定期的な合併症のフォローも行っており、病院とかかりつけ医の連携(当院で内服薬・インスリン量の調整や合併症評価を行い、かかりつけ医にて検査や処方を行う等)にも取り組んでいます。また、当院では、エコーガイド下穿刺甲状腺吸引細胞診による、甲状腺腫瘍の評価を積極的に行っており、二次性高血圧の原因精査や下垂体、副腎などの腫瘍及びホルモン異常精査、バセドウ眼症の精査治療も外来や入院で行っています。
緩和ケア科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110050xx99x0xx 後腹膜疾患 手術なし 手術・処置等2なし 14 17.14 10.73 21.43 74.93
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし - - 13.49 - -
040050xx99x0xx 胸壁腫瘍、胸膜腫瘍 手術なし 手術・処置等2なし - - 13.49 - -
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 - - 17.54 - -
060035xx99x0xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2なし - - 8.36 - -
当科では、「癌を取り除く」「癌の進行を抑える」等の治療は行いません。しかし、癌という病気からくる痛み・倦怠感などの身体的苦痛や、不安などの精神的苦痛に対応した「治療」を行うことができます。患者さんとご家族がこれからの生活をできる限り苦痛なく過ごせるよう、皆さんと一緒に考えながら対応していきたいと思います。また当院は、厚生労働省より指定された『地域がん診療連携拠点病院』です。患者さん・医師・看護師・その他の医療スタッフ・各医療機関とともに連携を図りながら、これからの患者さんの生活の不安などを和らげることができれば幸いです。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - 1 8
大腸癌 - - - - - 10 1 8
乳癌 - - - - - - 1 8
肺癌 11 - 21 50 - 39 1 8
肝癌 - - - - - - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
定義
5大癌と呼ばれる胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の患者さんの人数を、初発のUICC病期分類別、および再発に分けて集計しています。UICC病期分類とは、国際対がん連合(UICC)によって定められた、①原発巣の大きさと進展度、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無の 3つの要素によって各癌をⅠ期(早期)~Ⅳ期(末期)の 4病期(ステージ)に分類するものです。

特徴
5大癌の中で当院で最も多い症例は、肺癌です。肺の高度進行癌には、主に化学療法を中心とした治療が行われており、複数回の入院のため多くなっています。また、肺癌の不明例は、診断確定のための検査(気管支鏡)入院症例であり、入院中には病期分類が判明しないため多くなっています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 11 14.18 56.64
中等症 119 23.84 79.55
重症 58 26.5 84.07
超重症 - - -
不明
定義
入院のきっかけとなった病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎であって、市中肺炎(入院後発症の肺炎を除く)の患者さんが対象となります。市中肺炎とは普段の生活の中で罹患した肺炎をさし、インフルエンザウイルスなどのウイルスによる肺炎や食べ物の誤嚥による肺炎、気管支炎などは集計対象外となっています。
肺炎重症度分類の定義(A-DROPスコア)に基づき、重症度別に4段階に分類されます。

1.男性70歳以上、女性75歳以上
2.BUN 21mg/dL以上または脱水あり 3.SpO2<=90%(PaO2 60Torr以下)
3.SpO2<=90%(PaO2 60Torr以下)
4.意識障害あり
5.血圧(収縮期) 90mmHg以下

軽症:上記5つのいずれも満たさない
中等症:上記1つまたは2つを有する
重症:上記3つを有する
超重症:上記4つまたは5つを有する、またはショック状態

特徴
患者数が最も多いのは中等症で、全体の60%を占めています。基本的には年齢が高いほど、重症度が高くなり、重症度が高いほど、平均在院日数は長くなります。
ガイドラインでは軽症は外来治療が推奨されていますが、軽症の患者さんであっても重症化を危惧され入院となるケースもあります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 126 23.82 76.89 45.24
その他 - - - -
脳梗塞入院は、発症して早期に入院される場合がほとんどで、発症3日以内の急性期脳梗塞が全体の90%以上となっております。平均年齢は76歳と高く、23日間程度の入院期間で治療とリハビリを行い、約45%の患者さんが継続リハビリのために後方支援病院に転院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
心臓血管内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 27 4.15 5.04 0.00 69.15
K597-2 ペースメーカー交換術 17 1.12 10.88 5.88 86.18
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 16 0 21.44 18.75 70.63
K596 体外ペースメーキング術 13 2.38 17.08 7.69 78.69
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 13 3.15 11.23 0.00 83
心臓・血管内科では、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)に対する、心臓カテーテル治療の経皮的冠動脈ステント留置術が多くなっています。カテーテル治療は、足の付け根、手首、ひじなどにある動脈から、直径2mm程度の細い管(カテーテル)を心臓の近くまで挿入し、病変を治療する方法です。
また、徐脈性不整脈の患者さんに対してのペースメーカー移植術、ペースメーカー交換術も行っています。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 114 1.44 4.6 8.77 73.61
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 55 7.25 21.8 10.91 70.16
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) 21 0.38 4.29 19.05 81.52
K6147 血管移植術、バイパス移植術 その他の動脈 10 10.7 24.4 0.00 83
K6072 血管結紮術 その他のもの - - - - -
腎臓内科では、経皮的シャント拡張術・血栓除去術が最も多くなっています。この手術は、シャント血管にできた狭窄部位をバルーンで拡張したり、血管につまった血栓を取り除く手術です。次に多い、内シャント造設術は、腎臓の機能が低下して、血液透析が必要となった際に行なう手術であり、前腕部の動脈と静脈を吻合することで強い流れである動脈の血液を静脈に流し、透析に必要な血液を静脈から取り出せるようにします。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 15 5 5.13 0.00 31.33
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 14 1.64 9.5 0.00 68.36
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 14 3.21 9.43 0.00 65.43
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 11 1 4.64 0.00 68.36
K496-4 胸腔鏡下膿胸腔掻爬術 11 3.91 36.09 0.00 67.45
最も多い手術症例は胸腔鏡下肺切除術肺嚢胞手術です。肺嚢胞とは、肺に大きな中空の袋のような構造ができることです。袋は1cm以下の場合もあれば、鶏の卵ぐらいの大きさのこともあります。胸腔鏡下手術とは胸部に数か所、小さな穴を開け、胸腔鏡と言うカメラと手術器具を挿入して、テレビモニターに映る映像を見ながら行う手術です。胸腔鏡手術は、術後の体力が低下しにくいことや、傷跡が小さなことなど、患者さんのQOL(生活の質)を高く保つことのできる手術です。
次に多い手術は胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術です。肺がんに対して行われる、胸腔鏡下手術です。
次いで多い手術は、腹腔鏡下胆嚢摘出術です。原則として全身麻酔下で施行されますが、開腹手術と比較すると創が小さく創痛も少なく低侵襲(腹部に1~2cmの傷を3~4ヶ所開ける)な手術です。次に多い胸腔鏡下肺縫縮術は、気胸に対して全身麻酔で施行されます。胸腔鏡下にて肺を切除せず、肺を縫い縮める方法です。開腹によるもの以外に、適正な適応の元に鏡視下手術を積極的に行い、体への負担をできるだけ小さく、入院期間を短く、患者さんへの負担が少なくなるように努めています。いつ発生するかわからない緊急手術に備えて外科スタッフはオンコール体制を整えています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K284 骨折観血的手術 27 8.63 28.3 66.67 86.33
K0811 人工骨頭挿入術 - - - - -
K0462 骨折観血的手術 - - - - -
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 - - - - -
K084 四肢切断術 - - - - -
整形外科では、大腿骨の骨折観血的手術が最も多くなっています。骨折観血的手術は、ギプス固定では治癒が難しい複雑な骨折や重度の骨折、関節周辺を骨折した場合に施す外科手術です。次に人工骨頭挿入術を多く行っています。人工骨頭挿入術の患者さんの平均年齢は80歳代と高齢であるため、骨接合術で整復・固定が困難な場合があります。そのため、大腿骨の骨頭を取り出し、人工骨頭という人工物(金属性)に入れ替える手術です。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡によるもの) 19 0.53 5.11 0.00 52.47
K877 子宮全摘術 18 1.39 9.22 0.00 51.39
K861 子宮内膜掻爬術 - - - - -
K867 子宮頸部(腟部)切除術 - - - - -
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 - - - - -
婦人科では、腹腔鏡下での卵巣摘出術が最も多くなっています。術後の疼痛が少なく、開腹手術と比較すると早期に日常生活に戻ることができます。
次に子宮全摘手術が多くなっています。子宮全摘手術は、開腹手術による件数が多いですが、腹腔鏡下や膣式による手術も行っています。また、月経過多の治療として子宮内膜アブレーション(MEA)も行っており、おなかを切らない治療として、注目されています。約30分の手術で、1泊2日入院となります。このような腹腔鏡手術に代表される低侵襲手術をおこなうことで、患者さんの負担軽減に努めています。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 25 1.12 4.48 4.00 53.16
K3772 口蓋扁桃摘出術 20 1 5.7 0.00 22.7
K4571 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 - - - - -
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術 片葉のみの場合 - - - - -
K454 顎下腺摘出術 - - - - -
耳鼻咽喉科では、慢性副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症に対して行う内視鏡下副鼻腔手術が最も多くなっています。鼻腔やその周囲にある副鼻腔という空間に膿やポリープが溜まって鼻詰まりや鼻水、頭重感などの症状に対して行われる手術です。内視鏡下副鼻腔手術では、副鼻腔の病的な粘膜を取り除き、病変部位の洗浄や摘出を行います。次いで扁桃腺肥大や慢性扁桃炎に対する口蓋扁桃手術が最も多くなっています。口蓋扁桃手術は全身麻酔下で行われ、開口器で大きく口を開き、電気メスなどの器具を用いて両側の口蓋扁桃を摘出します。入院期間は5.7日となっております。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 42 1.55 14.33 11.90 79.14
K142-8 顕微鏡下腰部脊柱管拡大減圧術 18 4 23.28 16.67 77.11
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 12 5.33 22.83 8.33 75.33
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの) 脳内のもの - - - - -
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓切除   - - - - -
脳神経外科で最も多い手術は、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。脳は髄膜(ずいまく)という膜で包まれています。髄膜は3層構造になっており、脳の表面に近い方から順番に軟膜、くも膜、硬膜と呼びます。慢性硬膜下血腫とは、軽微な頭部外傷を負って1~2ヶ月ほど経過したのち、硬膜とくも膜の間にじわじわと出血して、血の塊が出来てくる病気です。頭痛や歩行障害、認知症等の症状が起こる病気で、比較的緊急手術となる場合が多くなります。局所麻酔下で、小さな穿頭で硬膜下に溜まった血の塊を吸引し、洗浄除去します。次に多いのが、脊柱管狭窄症、頸椎症などに対する脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術です。これらは、狭くなった脊柱管を広げることで神経への圧迫を取り除き疼痛を改善する手術です。
泌尿器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 59 1.98 5.41 1.69 76.1
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 35 1 4.63 2.86 66.09
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 28 1.39 12.14 10.71 76.46
K800-2 経尿道的電気凝固術 - - - - -
K8352 陰嚢水腫手術 その他 - - - - -
泌尿器科で最も多い症例は経尿道的膀胱悪性腫瘍切除術です。この手術は、尿道から手術用内視鏡を挿入し、腫瘍を電気メスで切除します。同時に、膀胱粘膜を数カ所から採取し、がん細胞の有無を顕微鏡で検査します。経尿道的膀胱腫瘍切除術は、開腹手術に比べ簡便で身体的負担が少ないことが特長です。
次に多い症例は、経尿道的尿路結石除去術(レーザー)です。腎結石・尿管結石に対して、尿道から内視鏡を挿入して、モニターを確認しながらレーザーを照射して結石を破砕し体外へ排泄する手術です。次いで経尿道的尿管ステント留置術の症例が多くなっています。尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管状の臓器)が閉塞してしまうと腎臓から尿が膀胱に流れないため痛み・発熱・腎機能低下が生じます。経皮道的尿管ステント留置術とは、尿管に細い管(ステント)を入れて、尿の流れを改善する手術です。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 40 0.75 9.85 0.00 64.28
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術 その他のもの - - - - -
K2821イ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 縫着レンズを挿入するもの - - - - -
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) - - - - -
K284 硝子体置換術 - - - - -
眼科で最も多い症例は、硝子体茎顕微鏡下離断術です。硝子体茎顕微鏡下離断術とは、網膜(カメラで例えるとフィルム)剥離や糖尿病・高血圧などによる硝子体【水晶体(カメラで例えるとレンズ)の後ろに存在する、コラーゲンからなるゼリー状の組織】の出血、黄斑部【網膜(カメラで例えるとフィルム)にある視細胞(光を感じる細胞)が密集していている場所】の病気に対する手術です。次に多い症例は、白内障に対する手術である水晶体再建術です。白く濁った水晶体(カメラで例えるとレンズ)を超音波などで細かくして吸引した後に眼内レンズを挿入する手術になります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる 29 0.82
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 14 0.54
異なる - -
この4つのDPCコードは、不適切なコーディングとみなされる確率が高いものです。しかし、播種性血管内凝固症候群(DIC)や敗血症は、基礎となる疾患がある方が、その基礎疾患が重症化した状態で緊急入院がされることがほとんどです。つまり、入院中に基礎となる疾患が改善せず、肝臓や胆道の感染症からDICや敗血症に移行したものが多く含まれています。
当院では、手術や処置などを行う際には合併症を起こさないように細心の注意を払い施行しています。起こり得る合併症については、事前に患者さんに説明した上で、手術や処置の施行に同意をいただくよう努めています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
341 328 96.19%
肺塞栓症とは、心臓から肺に血液を送り出す血管に血栓(血の塊)が詰まってしまう病気です。主に、脚の静脈内でできた血栓が血流に乗って流れ着くことで起こります。発症リスク因子は年齢が70歳以上、骨折や外傷、感染症、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、全身麻酔、カテーテル検査や治療等があります。
当院では、全ての入院患者さんに対して肺血栓塞栓症発症のリスク評価を行い、肺血栓塞栓症の発症リスクがあると判断した場合、速やかに脚の静脈の流れを促すための予防対策を行います。
予防方法は患者さんの状態に応じて圧迫ストッキングの着用(下肢の深部静脈の流れを促すために足先から太ももにかけて、 徐々に圧迫が弱まる特殊なストッキングの着用)、弾性包帯の使用(特に圧迫の程度を調節する必要がある場合に、足から下腿に弾性包帯を巻く)、足や下腿への圧迫ポンプ装備(足や下腿に巻いたバッグに断続的に空気を送り込み、圧力を変化させる)を行います。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1,501 1,399 93.20%
血液培養検査は本来無菌である血液中に菌が存在することを調べる検査です。血液中の細菌を同定し、正しい抗菌薬を使用することを目的としています。抗菌薬を正しく飲まないと「薬剤耐性」が起きてしまうかもしれません。「薬剤耐性」とは、抗菌薬に対して菌が抵抗する、つまり抗菌薬が効きにくくなってしまう現象のことです。
このような理由から、血液培養検査は精度が重要になってくるため、当院では通常2セット採取しています。基本的には左半身の部位から1度採血を行い、右半身の部位からもう一度再採血を行います。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
250 232 92.80%
菌の種類によって、効果のある抗菌薬は異なります。各抗菌薬がどの菌に有効であるかの範囲を示したものを抗菌スペクトルといい、広い範囲の菌に効果がある抗菌薬は、広域スペクトル抗菌薬とよばれます。当院では広域の抗菌薬を使用する際には事前に各種培養検査を行っており、原因菌が判明後は標的治療として狭域の抗菌薬へ変更を行うことで確実な効果が得られるとともに耐性菌の出現をできるだけ抑えるよう尽力しています。
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