令和6年度 公立八女総合 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 91 48 68 113 188 287 524 1216 1259 528
定義
令和6年度退院患者さんの人数を 10歳刻みの年齢階級別に集計しています。年齢は入院時の年齢です。

特徴
当院の入院患者さんは、医療圏の高齢化率が高いことから、令和6年度の退院患者さん(4,322名)のうち60歳以上の割合が高く、全体の80%を占めています。年齢別の傷病構成は、10歳以下では肺炎や喘息といった呼吸器系疾患が多くみられます。
10、20代の入院は少なく、扁桃、アデノ慢性疾患が多くみられ、30、40代では、子宮や卵巣腫瘍などの婦人系疾患が多くみられます。
50代では、腎臓病や腎不全といった腎機能系疾患などが多くが見られます。
60代では狭心症、慢性虚血性心疾患が多くみられ、さらに脳梗塞が増え始め、70代からは白内障が最も多く、がん疾患(肺や前立腺の悪性腫瘍)、腎臓病や腎不全といった腎機能系疾患が加わります。次いで80、90代になると心不全や肺炎、脳梗塞といった疾患が多くなります。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 33 6.58 4.5 0.0 73.85
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2なし 28 10.0 9.8 0.0 72.36
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 26 13.46 9.08 0.0 72.73
060150xx99xxxx 虫垂炎 手術な 16 11.25 7.99 0.0 67.88
060335xx99x0xx 胆嚢炎等 手術なし 手術・処置等2なし 14 11.07 11.29 35.71 75.57
外科で最も多い疾患は、鼠径ヘルニアです。鼠径ヘルニアとは、本来ならばお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、足の付け根付近(鼠径部)から皮膚の下に出てくる病気です。腸が出てくるので、一般的には「脱腸」と呼ばれています。ヘルニア門(臓器が脱出している部位)を医療用メッシュで補強する手術治療を行います。
次いで多い疾患は、肺悪性腫瘍手術、腸閉塞(イレウス)です。腸閉塞(イレウス)とは、腸の内容物の通過が完全にふさがれているか、深刻な通過障害をきたし、食べ物や水分がうまく流れなくなってしまう疾患です。症状としては、腹痛、吐き気・嘔吐、腹部膨隆、排便・排ガス停止などが挙げられます。絶食し、鼻から管を入れて腸に詰まっているものを取り除く治療が一般的ですが、改善がない場合や症状が強い場合には手術を行います。
当科では、患者さんが「元気に帰れる手術を行う外科」をテーマに「安全な手術と術後管理」、「低侵襲手術を含めた患者さんのニーズへの対応」を実践し日々努力しています。術前術後のリスク管理や治療方針を、他科を含めたカンファランスで話し合い、最もその患者さんに合った方法を選択し、提案します。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2 - 4あり 定義副傷病なし 66 18.8 16.88 37.88 76.15
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 30 22.57 18.68 66.67 68.2
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 27 8.67 6.89 7.41 63.0
010060xx99x20x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2 - 2あり 定義副傷病なし 22 18.18 16.93 54.55 75.59
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 22 18.45 11.89 18.18 80.18
脳神経外科で最も多い症例は脳梗塞です。脳梗塞とは、脳血管の一部が詰まり、その先に十分な血流がいかず脳細胞がダメージを受ける疾患です。入院後の治療としては、エダラボン(点滴治療)を中心とした保存的治療と併せて、早期のリハビリテーションを行っています。エダラボン(点滴治療)とリハビリテーションを併用することで、治療効果を高めることを目指しています。
次いで多い疾患は、非外傷性頭蓋内血腫です。非外傷性頭蓋内血腫とは高血圧などが原因で脳内の細い動脈が破れること(脳出血)によって生じます。脳内出血を起こすと脳の中に血液の固まり(血腫といいます)ができ、その周囲の脳組織は破壊されてしまいます。出血した場所に応じてさまざまな症状が出ますが、どこの場所であっても大きな出血では意識が悪くなり、生命に関わる状態になります。
脳梗塞、非外傷性硬膜下血腫においても退院後はリハビリが必要になることが多いため転院率が高くなっています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 内シャント血栓除去術等 手術・処置等2なし 123 3.54 3.82 5.69 74.72
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 60 13.57 11.35 10.0 71.12
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 - 1あり 37 29.27 33.81 13.51 76.78
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 26 12.96 7.37 3.85 78.19
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 22 21.41 13.66 22.73 78.5
腎臓内科で最も多い症例は、慢性腎臓病です。慢性腎臓病は腎臓の機能(尿をつくる・体内のイオンバランスを一定に保つ・血圧を調整する・血液をつくる働きを助ける・強い骨をつくる)が低下し、疲労感、食欲低下、高血圧、手足のむくみなどの症状を引き起こすことがある疾患です。治療内容は保存期の治療や教育入院による指導、透析導入等です。また、透析患者さんの合併症(シャントの閉塞や狭窄)の管理においては、血管外科医と連携を行い、迅速にPTA(経皮的血管拡張術)を行っています。当院の腎臓内科では、慢性腎炎から末期腎不全まで腎臓内科分野のすべての診療を網羅しており、腎代替療法に関しては血液透析、腹膜透析療法の治療も可能です。医師だけでなく透析専門認定看護師を含め、看護師、栄養士、薬剤師、工学技士、理学療養士、ソーシャルワーカー等チーム医療として腎臓疾患の患者さんを診療しております。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 149 21.32 16.39 18.79 84.93
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 66 25.94 20.78 40.91 80.09
040110xxxx00xx 間質性肺炎 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 28 27.93 18.67 10.71 76.21
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 25 2.16 3.03 0.0 70.8
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 20 13.0 13.40 25.0 79.05
呼吸器内科では、呼吸器感染症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、びまん性肺疾患、肺癌など、幅広い分野に対応しています。
呼吸器内科で最も多い症例は市中肺炎です。市中で起こる肺炎は、一般の社会生活を送っている人、すなわち健康な人あるいは軽度の病気を持っている人に起きる肺炎です。
胸部エックス線画像、血液検査で肺炎と診断した場合には、さらに原因微生物を調べる検査を追加します。鼻やのどの奥をこすりとったり、たんや尿を出してもらい、原因微生物を調べます。年齢や呼吸状態などから重症と判断した場合には、入院してもらい、抗菌薬を注射します。普段から栄養の保持に心掛け、よく体を動かし、禁煙に努めることと、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種しておくことが、肺炎予防につながります。
次に多い疾患は、誤嚥性肺炎です。加齢などで飲み込む機能が弱くなると、飲食物や唾液、胃液などが気管に入ってしまうことがあります。これを誤嚥といい、誤嚥したものと一緒に細菌が肺に入って炎症が起こったものが誤嚥性肺炎です。特に高齢の方に多く、平均年齢は80歳となっております。治療内容は、主に抗菌薬を用いた薬物療法です。しかし、抗菌薬は肺炎自体に効果がありますが、誤嚥を防ぐ効果はありません。当院では、日頃のケアを他職種チーム(摂食嚥下支援チーム)がサポートし再発予防に努めています。
誤嚥性肺炎や間質性肺炎は再燃や他疾患を併発していることが多く、治療期間は通常の肺炎よりも長くかかることが多く、平均在院日数は長くなっています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 157 22.73 17.32 22.93 84.4
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1なし、1/3あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 40 13.03 9.59 5.0 79.17
050030xx03000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 36 17.39 11.37 5.56 68.89
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 - 1あり 手術・処置等2なし 28 5.46 3.07 10.71 72.64
050050xx9913xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 - 1あり 手術・処置等2 - 3あり 27 7.11 6.11 0.0 72.11
心臓・血管内科で最も多い症例は、心不全の治療です。心不全とは様々な原因により心臓の血液循環力が低下した状態を指し、生命にかかわる重篤な疾患です。心不全は1つの病気ではなく、心臓の働きが低下した結果、起きた状態ですから、治療の原則は、心臓の働きを低下させたもともとの原因をはっきりさせ、その原因となった病気を治療することにあります。平均年齢は約84歳となっており、高齢者に多いことが分かります。
次に多い症例は、徐脈性不整脈に対する治療です。不整脈とは、心臓の拍動のリズムが不規則であったり、極端に頻度が高かったり少なかったりする状態を言います。心臓は正常時には血液を一定のリズムで送り出しています。不整脈はその電気の流れや発生の異常によってもたらされます。心臓の拍動頻度が極端に少ない場合(心拍数おおよそ50回/分以下)を徐脈、その逆に速くなる状態(おおよそ100回/分以上)を頻脈と呼びます。極端な徐脈や頻拍では、心臓が十分に血液を送り出すことができず、からだのはたらきを障害することがあります。薬物療法や心臓へのペースメーカーの植え込み治療が行われます。
心不全治療、動脈・静脈疾患に加えペースメーカー手術などの不整脈治療、診療も積極的に行っており、ほとんどの循環器の病気の治療を当院で行うことができます。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 34 11.97 12.98 5.88 74.68
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 25 8.16 6.92 0.0 82.72
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 15 8.87 9.32 0.0 69.07
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし 14 5.29 3.77 0.0 61.57
080100xxxx0x0x 薬疹、中毒疹 手術・処置等1なし 定義副傷病なし - - 10.13 - -
皮膚科で最も多い症例は、蜂窩織炎の治療です。蜂窩織炎は細菌が皮下に入り込み、真皮深層から皮下組織・筋膜で炎症を起こす皮膚の細菌感染症の中でも一般的な疾患です。蜂窩織炎は虫刺されや擦り傷などの外的な損傷を負っている、アトピーや湿疹のために皮膚が弱っている、伝染性膿痂疹(とびひ)や白癬(みずむし)などの感染がもともと存在している等で、皮膚のバリア機能が弱り、そこから細菌が侵入して感染します。入院の場合は、静脈注射で抗菌薬を投与します。注射薬は直接血管内に入るため、即効性があり、より強力な治療が可能となります。
当院では、皮膚に生じた疾患全般を対象に治療しておりますが、特に手術を要する皮膚良性腫瘍、悪性腫瘍、帯状疱疹、蜂窩織炎などの急性感染症、乾癬、自己免疫性水疱症などの難治性皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのアレルギー性皮膚疾患の重症例、薬疹、熱傷、円形脱毛症などを中心に治療を行っております。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 54 2.13 2.44 0.0 71.87
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病なし 35 6.43 5.16 0.0 62.37
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 32 17.06 13.66 18.75 81.12
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 31 10.13 6.80 0.0 75.13
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 - 2あり 定義副傷病なし 17 6.29 6.63 0.0 76.76
泌尿器科で最も多い症例は、前立腺の悪性腫瘍です。前立腺がんの診断に不可欠である前立腺生検を目的とした入院が多いです。病変の一部を採って、顕微鏡で詳しく調べる検査です。生検組織診断とも呼ばれます。手術や内視鏡検査などのときに組織を採ったり、体の外から超音波(エコー)検査やX線検査などを行いながら細い針を刺して組織を採ったりします。がんであるかどうか、悪性度はどうかなど、病理医が病変について詳しく調べて診断を行います。
前立腺生検では、まず肛門から超音波を発する器具(プローブ)を挿入し、経直腸エコー(経直腸超音波検査)による画像を観察しながら、前立腺に細い針を刺して複数カ所の組織を採取します。平均在院日数は2.2日と短期間の入院検査となります。
また当院では、腎癌に対する腎摘、腎盂尿管癌に対する腎尿管全摘の腹腔鏡手術にも、連携先の病院より先生をお招きして対応しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 52 30.9 25.29 78.85 81.83
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 26 22.92 19.16 69.23 77.58
070343xx99x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2なし 11 13.27 13.31 36.36 81.91
160800xx99xxx0 股関節・大腿近位の骨折 手術なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 - - 13.56 - -
160990xx99x0xx 多部位外傷 手術なし 手術・処置等2なし - - 16.03 - -
整形外科で最も多い疾患は、股関節・大腿近位の骨折です。大腿骨頭を人工骨頭に取り換える手術治療を行います。平均年齢が81歳と高く、ご高齢の方が転倒し、加齢により弱くなった骨が折れてしまい、治療が必要となる場合が多いです。股関節・大腿近位の骨折の治療後は、リハビリが必要になる患者さんが多数いらっしゃいます。当院で治療を終えた後、リハビリ目的に転院される為、転院率が78%と高くなっています。
当院整形外科の地域での重要な役割は、高齢化に伴う症例が多く見受けられる中、合併症(腎不全、心不全、肝硬変、がんなど)を伴う患者さんの治療だと考えています。平均在院日数が長くなっている背景は、高齢化や合併症管理と考えられます。
緩和ケア科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし - - 13.40 - -
110050xx99x0xx 後腹膜疾患 手術なし 手術・処置等2なし - - 10.68 - -
060035xx99x0xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2なし - - 7.91 - -
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし - - 16.39 - -
060020xx9900xx 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし - - 11.12 - -
当科では、「癌を取り除く」「癌の進行を抑える」等の治療は行いません。しかし、癌という病気からくる痛み・倦怠感などの身体的苦痛や、不安などの精神的苦痛に対応した「治療」を行うことができます。患者さんとご家族がこれからの生活をできる限り苦痛なく過ごせるよう、皆さんと一緒に考えながら対応していきたいと思います。また当院は、厚生労働省より指定された『地域がん診療連携拠点病院』です。患者さん・医師・看護師・その他の医療スタッフ・各医療機関とともに連携を図りながら、これからの患者さんの生活の不安などを和らげることができれば幸いです。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 35 4.23 4.66 0.0 68.69
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 33 7.48 7.35 0.0 21.39
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 22 5.91 5.84 0.0 51.36
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 10 8.0 6.68 0.0 64.8
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり - - 2.02 - -
耳鼻咽喉科で最も多い症例は、多い疾患は前庭機能障害(良性発作性めまい症)です。めまい疾患の中でもっとも多く、特定の頭の位置や頭を動かすこと(例えば寝返り、起床時、臥床時など)により誘発される回転性めまいです。めまいは数秒から数十秒でおさまり、難聴や耳鳴は伴いません。
良性発作性頭位めまい症の原因は、耳の奥にある内耳の三半規管(半規管)という場所に、耳石という小さなカルシウムの結晶が入り込むからだと考えられています。
普段重力を感知する前庭という器官に耳石はあるのですが、この耳石が何らかの理由で三半規管に入ってしまうことがあります。こうして耳石からの妨害を受けた三半規管は、平衡バランスを上手く保てず、めまいを引き起こすのだと考えられています。多くの場合、はがれた耳石を元の位置に戻す耳石置換(ちかん)法やお薬による治療を行っています。
次に多い疾患は扁桃炎・咽喉頭炎です。平均年齢は21歳と低くなっています。扁桃はのど、アデノイド(咽頭扁桃)は鼻の奥の突き当たりにあるリンパ組織で、ウイルスや細菌などがからだに侵入しないよう防御する役割を担っています。当院の耳鼻咽喉科では、手術や、入院加療が必要な炎症性疾患(扁桃炎・咽喉頭炎)の治療を行っています。
内分泌代謝科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 - 1あり 38 23.61 13.77 5.26 71.08
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2なし 28 16.43 10.45 3.57 62.79
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 16 13.12 13.06 6.25 54.88
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.66 - -
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 - 1あり - - 12.59 - -
内分泌代謝内科で最も多い疾患は、2型糖尿病です。糖尿病は、インスリンの作用不足により血糖値が高くなる病気です。長期間放置すると神経障害による手足のしびれや網膜症による失明、腎症による透析につながりうる病気です。また、心筋梗塞、脳卒中、足の壊疽などの合併症の原因にもなります。当院内分泌代謝内科では、糖尿病患者の定期的な合併症のフォローも行っており、病院とかかりつけ医の連携(当院で内服薬・インスリン量の調整や合併症評価を行い、かかりつけ医にて検査や処方を行う等)にも取り組んでいます。また、当院では、エコーガイド下穿刺甲状腺吸引細胞診による、甲状腺腫瘍の評価を積極的に行っており、二次性高血圧の原因精査や下垂体、副腎などの腫瘍及びホルモン異常精査、バセドウ眼症の精査治療も外来や入院で行っています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 19 5.37 5.97 0.0 45.68
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 12 9.75 9.19 0.0 48.33
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 手術あり - - 7.73 - -
12002xxx02xxxx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 - - 2.91 - -
120220xx01xxxx 女性性器のポリープ 子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術、子宮内膜ポリープ切除術 - - 2.72 - -
産婦人科で多い疾患は、卵巣や子宮の良性腫瘍(子宮筋腫や卵巣腫瘍など)です。当院では、2024年6月より子宮筋腫に対するカテーテル治療(お腹を切らないで行う手術)を開始しました。筑後地区では、久留米大学病院に続いて2施設目となります。治療はすべて保険診療で受けることができます。従来の治療内容と比較して、入院日数、社会復帰までの期間が短い低侵襲な治療であり、手術のような大きな傷跡が残らず、子宮を温存できる利点があります。
次に多い疾患は、子宮の良性腫瘍です。 子宮にできる良性の腫瘍で、がんではありません。30歳以上の女性の3割前後に、子宮筋腫を認めるといわれています。子宮筋腫は、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で大きくなります。一方、閉経すれば、子宮筋腫も小さくなります。子宮筋腫の数や大きさはさまざまで、月経の出血量が多い(過多月経)、貧血、お腹の痛みなど、さまざまな症状を引き起こします。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 重症度等片眼 321 2.09 2.49 0.0 77.73
020150xx97xxxx 斜視(外傷性・癒着性を除く。) 手術あり 11 2.45 3.07 0.0 30.73
020250xx97xxxx 結膜の障害 その他の手術あり - - 2.81 - -
160250xxxx0xxx 眼損傷 手術・処置等1なし - - 4.51 - -
020280xx99xxxx 角膜の障害 手術なし - - 14.31 - -
眼科で最も多い疾患は白内障です。私たちが目で見ている像は、角膜、水晶体を通った光が網膜面で結像したものです。その水晶体というレンズの役割を果たす組織が混濁する病気を白内障と言います。原因として多いのが加齢によるもので、当院においても平均年齢は77歳となっています。水晶体が濁り始めると、水晶体で光が散乱するため、霞んだり、物が二重に見えたり、まぶしく見えるなどの症状が出現し、進行すれば視力が低下し、眼鏡でも矯正できなくなります。ごく初期の白内障は点眼薬で進行を遅らせることができる場合もありますが、濁った水晶体をもとに戻すことはできません。進行した白内障に対しては、濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入します。
次いで多い疾患は斜視です。斜視とは左右の視線が合わない病気です。斜視は人口の約3%にみられるとする統計もあり、決して珍しい病気ではありません。目を動かす神経や筋肉の異常で起こってくる場合には、ものが二重にだぶって見える(複視と言います)ことがあり、日常生活に支障を来すこともあります。外斜視では視線を合わせるのに疲れを感じ、肩凝りや頭痛の原因になることがあります。当院では目の位置を戻すために、目を動かす筋肉の位置を移動させたり、短くしたりする手術治療を行っています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
0400801199x0xx 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 23 6.22 5.61 0.0 5.0
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 16 4.62 6.37 0.0 5.06
020250xx97xxxx 結膜の障害 その他の手術あり - - 2.81 - -
160250xxxx0xxx 眼損傷 手術・処置等1なし - - 4.51 - -
020280xx99xxxx 角膜の障害 手術なし - - 14.31 - -
小児科で多い疾患は、肺炎です。インフルエンザウイルスやRSウイルスなどの風邪のウイルスが原因で肺炎を引き起こすことが多いです。肺炎球菌といった細菌やマイコプラズマによるものもみられます。 細菌による肺炎には入院による抗生物質の点滴治療を行います。
次いで多い疾患は喘息です。喘息とは、気道(呼吸をするときの空気の通り道)が狭くなり呼吸が苦しくなる症状がおこる疾患です。気道の炎症を抑えて、喘息の症状が出ることを防いだり、発作を予防するために、治療を開始します。乳幼児は、もともと気管や気管支が細いため、かぜをひいただけでもヒューヒュー、ゼーゼー、することがあり、ぜん息とかぜの区別は簡単ではありません。早い時期に正しい診断に基づいた治療を始めることが大切です。
当院では、多岐にわたる小児疾患に対応するため、必要に応じて院内の他科や、他病院と連携をとり専門医への紹介を行っています。子供たちの健康増進をはかり、健やかな成長のサポートを行っていきます。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - - -
大腸癌 - - - - - - - -
乳癌 - - - - - - 1 8
肺癌 16 - 20 27 - 24 1 8
肝癌 - - - - - - - -
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
定義
5大癌と呼ばれる胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の患者さんの人数を、初発のUICC病期分類別、および再発に分けて集計しています。UICC病期分類とは、国際対がん連合(UICC)によって定められた、①原発巣の大きさと進展度、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無の 3つの要素によって各癌をⅠ期(早期)~Ⅳ期(末期)の 4病期(ステージ)に分類するものです。

特徴
5大癌の中で当院で最も多い症例は、肺癌です。肺の高度進行癌には、主に化学療法を中心とした治療が行われており、複数回、入院治療が必要となります。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 28 9.11 51.0
中等症 150 19.02 79.5
重症 33 20.91 83.7
超重症 - - -
不明 - - -
定義
入院のきっかけとなった病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎であって、市中肺炎(入院後発症の肺炎を除く)の患者さんが対象となります。市中肺炎とは普段の生活の中で罹患した肺炎をさし、インフルエンザウイルスなどのウイルスによる肺炎や食べ物の誤嚥による肺炎、気管支炎などは集計対象外となっています。
肺炎重症度分類の定義(A-DROPスコア)に基づき、重症度別に4段階に分類されます。

1.男性70歳以上、女性75歳以上
2.BUN 21mg/dL以上または脱水あり 3.SpO2<=90%(PaO2 60Torr以下)
3.SpO2<=90%(PaO2 60Torr以下)
4.意識障害あり
5.血圧(収縮期) 90mmHg以下

軽症:上記5つのいずれも満たさない
中等症:上記1つまたは2つを有する
重症:上記3つを有する
超重症:上記4つまたは5つを有する、またはショック状態

特徴
患者数が最も多いのは中等症で、全体の70%を占めています。基本的には年齢が高いほど、重症度が高くなり、重症度が高いほど、平均在院日数は長くなります。
ガイドラインでは軽症は外来治療が推奨されていますが、軽症の患者さんであっても重症化を危惧され入院となるケースもあります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 129 22.47 77.22 51.16
その他 - - - -
脳梗塞入院は、発症して早期に入院される場合がほとんどで、発症3日以内の急性期脳梗塞が全体の90%以上となっております。平均年齢は77歳と高く、22日間程度の入院期間で治療とリハビリを行い、約51%の患者さんが継続リハビリのために後方支援病院に転院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 27 1.63 21.78 29.63 81.93
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 11 1.09 23.55 27.27 73.09
K142-8 顕微鏡下腰部脊柱管拡大減圧術 10 3.5 24.5 40.0 80.4
K142-4 経皮的椎体形成術 10 2.3 13.8 0.0 80.8
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓切除 - - - - -
脳神経外科で最も多い手術は、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。脳は髄膜(ずいまく)という膜で包まれています。髄膜は3層構造になっており、脳の表面に近い方から順番に軟膜、くも膜、硬膜と呼びます。慢性硬膜下血腫とは、軽微な頭部外傷を負って1~2ヶ月ほど経過したのち、硬膜とくも膜の間にじわじわと出血して、血の塊が出来てくる病気です。頭痛や歩行障害、認知症等の症状が起こる病気で、比較的緊急手術となる場合が多くなります。局所麻酔下で、小さな穿頭で硬膜下に溜まった血の塊を吸引し、洗浄除去します。次に多いのが、脊柱管狭窄症、頸椎症などに対する脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術です。これらは、狭くなった脊柱管を広げることで神経への圧迫を取り除き疼痛を改善する手術です。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 24 1.0 4.38 0.0 72.08
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 17 1.35 9.12 0.0 71.65
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 15 6.2 9.4 0.0 43.87
K496-4 胸腔鏡下膿胸腔掻爬術 11 2.09 42.27 0.0 70.64
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの - - - - -
最も多い手術症例は腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術です。腹腔鏡手術では、通常3か所に小さな切開を加え、カメラと手術器具を挿入して行います。腹腔内の様子をモニターに映し出しながら、内視鏡下で精密に操作し、ヘルニア門(臓器が脱出している部位)を医療用メッシュで補強します。
腹腔鏡下手術は、術後の痛みが比較的少ない、社会復帰や仕事復帰が早い、両側のヘルニアにも同時に対応しやすい等のメリットがあります。
次いで多い症例は胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの)です。右肺は上葉、中葉、下葉の3つに、左肺は上葉と下葉の2つに分かれています。 その1肺葉を胸腔鏡手術により切除します。胸腔鏡下手術とは胸部に数か所、小さな穴を開け、胸腔鏡と言うカメラと手術器具を挿入して、テレビモニターに映る映像を見ながら行う手術です。胸腔鏡手術は、術後の体力が低下しにくいことや、傷跡が小さなことなど、患者さんのQOL(生活の質)を高く保つことのできる手術です。
いつ発生するかわからない緊急手術に備えて外科スタッフはオンコール体制を整えています。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回 109 0.35 5.39 2.73 74.11
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 41 5.12 17.49 14.63 73.95
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 1の実施後3月以内に実施する場合 20 0.0 6.55 8.7 76.25
K616-7 ステントグラフト内挿術(シャント) 19 0.74 14.21 10.53 79.68
K6147 血管移植術、バイパス移植術 その他の動脈 17 4.82 17.41 11.76 76.82
腎臓内科では、経皮的シャント拡張術・血栓除去術が最も多くなっています。この手術は、シャント血管にできた狭窄部位をバルーンで拡張したり、血管につまった血栓を取り除く手術です。次に多い、内シャント造設術は、腎臓の機能が低下して、血液透析が必要となった際に行なう手術であり、前腕部の動脈と静脈を吻合することで強い流れである動脈の血液を静脈に流し、透析に必要な血液を静脈から取り出せるようにします。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 52 1.12 7.15 0.0 76.13
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 35 1.0 4.43 0.0 62.37
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 20 2.5 11.25 15.38 72.0
K7983 膀胱結石摘出術(レーザーによるもの) - - - - -
K797 膀胱内凝血除去術 - - - - -
泌尿器科で最も多い症例は経尿道的膀胱悪性腫瘍切除術です。この手術は、尿道から手術用内視鏡を挿入し、腫瘍を電気メスで切除します。同時に、膀胱粘膜を数カ所から採取し、がん細胞の有無を顕微鏡で検査します。経尿道的膀胱腫瘍切除術は、開腹手術に比べ簡便で身体的負担が少ないことが特長です。
次に多い症例は、経尿道的尿路結石除去術(レーザー)です。腎結石・尿管結石に対して、尿道から内視鏡を挿入して、モニターを確認しながらレーザーを照射して結石を破砕し体外へ排泄する手術です。次いで経尿道的尿管ステント留置術の症例が多くなっています。尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管状の臓器)が閉塞してしまうと腎臓から尿が膀胱に流れないため痛み・発熱・腎機能低下が生じます。経皮道的尿管ステント留置術とは、尿管に細い管(ステント)を入れて、尿の流れを改善する手術です。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 30 5.93 21.3 86.67 83.87
K0811 人工骨頭挿入術(股) 20 8.3 25.3 80.0 77.85
K0462 骨折観血的手術(前腕)
K0861 断端形成術(軟部形成のみ)(指)
K0652 関節内異物(挿入物を含む)除去術(足)
整形外科では、大腿骨の骨折観血的手術が最も多くなっています。骨折観血的手術は、ギプス固定では治癒が難しい複雑な骨折や重度の骨折、関節周辺を骨折した場合に施す外科手術です。次に人工骨頭挿入術を多く行っています。人工骨頭挿入術の患者さんの平均年齢は80歳代と高齢であるため、骨接合術で整復・固定が困難な場合があります。そのため、大腿骨の骨頭を取り出し、人工骨頭という人工物(金属性)に入れ替える手術を行っています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 25 4.56 12.48 8.0 80.28
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 20 0.15 13.85 10.0 69.9
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 20 7.5 3.9 0.0 72.9
K597-2 ペースメーカー交換術 16 1.44 9.31 0.0 80.94
K596 体外ペースメーキング術 14 0.5 12.29 7.14 78.79
心臓・血管内科で多い症例は、徐脈性不整脈の患者さんに対してのペースメーカー移植術です。ペースメーカー(心臓のリズムを監視し、必要に応じて電気信号を送ることで心臓が一定のリズムで収縮するようにする機器)本体を体内に植え込む手術です。
次いで多い症例は虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)に対する、心臓カテーテル治療の経皮的冠動脈ステント留置術です。カテーテル治療は、足の付け根、手首、ひじなどにある動脈から、直径2mm程度の細い管(カテーテル)を心臓の近くまで挿入し、病変を治療する方法です。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 32 1.0 5.66 0.0 20.69
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 21 1.0 3.9 0.0 51.67
K347 鼻中隔矯正術 - - - - -
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術(片葉のみ) - - - - -
K3892 声帯ポリープ切除術(直達喉頭鏡) - - - - -
耳鼻咽喉科では、扁桃腺肥大や慢性扁桃炎に対する口蓋扁桃手術が最も多くなっています。口蓋扁桃手術は全身麻酔下で行われ、開口器で大きく口を開き、電気メスなどの器具を用いて両側の口蓋扁桃を摘出します。入院期間は5.7日となっております。
次いで多い症例は慢性副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症に対して行う内視鏡下副鼻腔手術です。鼻腔やその周囲にある副鼻腔という空間に膿やポリープが溜まって鼻詰まりや鼻水、頭重感などの症状に対して行われる手術です。内視鏡下副鼻腔手術では、副鼻腔の病的な粘膜を取り除き、病変部位の洗浄や摘出を行います。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 27 1.07 4.11 0.0 49.07
K877 子宮全摘術 11 1.0 7.82 0.0 49.18
K861 子宮内膜掻爬術 10 0.0 1.0 0.0 54.2
K867 子宮頸部(腟部)切除術 - - - - -
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 - - - - -
婦人科で最も多い症例は、腹腔鏡下での卵巣摘出術です。術後の疼痛が少なく、開腹手術と比較すると早期に日常生活に戻ることができます。
次いで多い症例は子宮全摘手術です。子宮全摘手術は、開腹手術による件数が多いですが、腹腔鏡下や膣式による手術も行っています。また、月経過多の治療として子宮内膜アブレーション(MEA)も行っており、おなかを切らない治療として、注目されています。約30分の手術で、1泊2日入院となります。このような腹腔鏡手術に代表される低侵襲手術をおこなうことで、患者さんの負担軽減に努めています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 305 0.0 1.01 0.0 77.42
K2422 斜視手術後転法
K2821イ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 縫着レンズを挿入するもの
K2822 水晶体再建術 眼内レンズを挿入しない場合
K224 翼状片手術(弁の移植を要するもの)
眼科で最も多い症例は、白内障に対する手術である水晶体再建術です。白く濁った水晶体(カメラで例えるとレンズ)を超音波などで細かくして吸引した後に眼内レンズを挿入する手術になります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる 16 0.37
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 16 0.37
異なる - -
この4つのDPCコードは、不適切なコーディングとみなされる確率が高いものです。しかし、播種性血管内凝固症候群(DIC)や敗血症は、基礎となる疾患がある方が、その基礎疾患が重症化した状態で緊急入院がされることがほとんどです。つまり、入院中に基礎となる疾患が改善せず、肝臓や胆道の感染症からDICや敗血症に移行したものが多く含まれています。
当院では、手術や処置などを行う際には合併症を起こさないように細心の注意を払い施行しています。起こり得る合併症については、事前に患者さんに説明した上で、手術や処置の施行に同意をいただくよう努めています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
346 336 97.11
肺塞栓症とは、心臓から肺に血液を送り出す血管に血栓(血の塊)が詰まってしまう病気です。主に、脚の静脈内でできた血栓が血流に乗って流れ着くことで起こります。発症リスク因子は年齢が70歳以上、骨折や外傷、感染症、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、全身麻酔、カテーテル検査や治療等があります。
当院では、全ての入院患者さんに対して肺血栓塞栓症発症のリスク評価を行い、肺血栓塞栓症の発症リスクがあると判断した場合、速やかに脚の静脈の流れを促すための予防対策を行います。
予防方法は患者さんの状態に応じて圧迫ストッキングの着用(下肢の深部静脈の流れを促すために足先から太ももにかけて、 徐々に圧迫が弱まる特殊なストッキングの着用)、弾性包帯の使用(特に圧迫の程度を調節する必要がある場合に、足から下腿に弾性包帯を巻く)、足や下腿への圧迫ポンプ装備(足や下腿に巻いたバッグに断続的に空気を送り込み、圧力を変化させる)を行います。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1813 1143 63.04
血液培養検査は本来無菌である血液中に菌が存在することを調べる検査です。血液中の細菌を同定し、正しい抗菌薬を使用することを目的としています。抗菌薬を正しく飲まないと「薬剤耐性」が起きてしまうかもしれません。「薬剤耐性」とは、抗菌薬に対して菌が抵抗する、つまり抗菌薬が効きにくくなってしまう現象のことです。
このような理由から、血液培養検査は精度が重要になってくるため、当院では通常2セット採取しています。基本的には左半身の部位から1度採血を行い、右半身の部位からもう一度再採血を行います。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
270 251 92.96
菌の種類によって、効果のある抗菌薬は異なります。各抗菌薬がどの菌に有効であるかの範囲を示したものを抗菌スペクトルといい、広い範囲の菌に効果がある抗菌薬は、広域スペクトル抗菌薬とよばれます。当院では広域の抗菌薬を使用する際には事前に各種培養検査を行っており、原因菌が判明後は標的治療として狭域の抗菌薬へ変更を行うことで確実な効果が得られるとともに耐性菌の出現をできるだけ抑えるよう尽力しています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
60850 149 2.45
入院中の転倒・転落は、患者さんの安全に大きく関わる重要な課題です。その原因は、入院という環境の変化、疾患そのもの、加齢、治療や手術による身体的な影響など、さまざまな要因があります。
当院では、入院時「転倒転落アセスメントスコアシート」を用いてリスク評価し、危険度別の看護計画を作成しています。必要に応じて環境整備や介助体制の強化、スタッフ間の情報共有など転倒・転落の発生リスクを低減し、患者さんの生命および健康と安全の確保に努めています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
60850 11 0.18
当院では、万が一インシデント影響度分類レベル3b以上(患者さんに入院して濃厚な処置や治療(手術など)が必要となった場合や入院期間が延長する状態)が発生した場合、転倒直前までの患者さんの状況をアセスメント、発生時の状況を記録、継続的観察(外傷部位の局所にとどまらず頭蓋内や深部臓器に出血がおこる可能性を踏まえ、状態に変化がなくても72時間は「転倒・転落後の経過観察メモ」を用い、経過観察と記録を継続)を行い、原因を分析します。
入院時より必要に「転倒転落アセスメントスコアシート」を用いてリスク評価し、応じて環境整備や介助体制の強化、スタッフ間の情報共有など転倒・転落の発生リスクを低減し、患者さんの生命および健康と安全の確保に努めています。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
645 643 99.69
手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬を投与することは、手術中の感染リスクを低減し、術後の感染症を防ぐために非常に重要です。抗菌薬を適切なタイミングで投与することで、細菌の術部への定着を抑え、術後の感染リスクを効果的に軽減することができます。
このような理由から、手術前後の抗菌薬投与は、手術部位感染(SSI)を予防するための基本的かつ重要な対策とされています。
当院では、感染管理認定看護師を中心に術後サーベイランスを実施し、院内で発生する手術部位感染(SSI)を継続的に監視しています。得られたデータをもとに評価・改善を行い、術後の感染症予防に取り組んでいます。
患者さんが安心して手術を受けられるよう、今後も感染対策の強化に努めています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
58130 58 0.1
褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。

深さ(D):褥瘡の深さを正確に評価する方法で次のように分類されます
d0:皮膚損傷がない状態
d1:持続する発赤が見られる状態
d2:真皮までの損傷がある状態
D3:皮下組織までの損傷がある状態
D4:皮下組織を超える損傷がある状態
D5:関節腔、体腔に至る損傷がある状態
DDTI:深部損傷褥瘡(DTI)が疑われる状態
DU:壊死組織に覆われていて、深さの判定ができない状態

自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪い、皮膚が弱くなっている(高齢者、排泄物や汗により皮膚のふやけがある、むくみが強い、抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっている)人が、圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合は褥瘡になりやすいといえます。
褥瘡になりやすいため注意しなければならない病気として、うっ血性心不全、骨盤骨折、脊髄損傷、糖尿病、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患があります。
当院では褥瘡対策チームを中心に入院時、全患者さんを対象に個別の患者ごとに褥瘡予防計画書を作成し、計画に基づき重点的な褥瘡ケアを継続して実施しています。褥瘡を治癒するためだけでなく、予防においても褥瘡リスクがある患者さんの褥瘡予防・管理しています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
3199 3028 94.65
入院初期の栄養アセスメントは、栄養障害やそのリスクを早期に評価し、適切な介入を行うことで、入院期間の短縮や予後の改善につながる重要な取り組みです。
当院では、入院が必要な患者さんに対して、治療方針や病状に応じた適切な栄養量と供給方法を計画しています。また、栄養療法への理解を深めていただくために、栄養指導や相談を通じた患者教育にも力を入れています。
低栄養や過栄養が原因となる病状の悪化、褥瘡の発生、感染症のリスクなどを防ぐため、栄養状態の改善・維持・悪化防止を目指し、効率的な栄養管理を日々実践しています。
患者さん一人ひとりの健康回復を支えるため、医師・管理栄養士・看護師など多職種(栄養サポートチーム)が連携し、質の高い栄養ケアを提供しています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
60850 1339 2.2
現在、すべての医療機関において、身体的拘束を最小限に抑える体制の整備が義務づけられています。当院では、身体的拘束は患者さんの安全を守るためにやむを得ない場合に限り実施し、それ以外では極力行わない方針を徹底しています。
多職種による身体的拘束最小化チームを中心に、患者さん一人ひとりの状況に応じた拘束解除に向けて、毎日カンファレンスを実施しています。医師、看護師、リハビリスタッフ、介護職などが連携し、患者さんが安心して、より良い医療を受けられるよう日々試行錯誤を重ねながら取り組んでいます。
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